『ゴッド・ブレス・アメリカ』

原題:GOD BLESS AMERICA(2011/アメリカ)
監督:ボブキャット・ゴールドスウェイト
脚本:ボブキャット・ゴールドスウェイト
出演:ジョエル・マーレイ、タラ・リン・バー、マッケンジー・ブルーク・スミス、メリンダ・ペイジ・ハミルトン、リッチ・マクドナルド

★★★★☆

何かの映画をレンタルして来たときにこの映画の予告編を観て以来、ずっとこれは観たい!!と思っていました。
『スーパー!』にすごい似ているな〜、でもこっちからは『キック・アス』のような「ボンクラヒーローなりきりモノ」臭がしない。
要するにヒーローっぽい変装もしないし、武器は銃!っていうリアル志向のような感じ(でも何故かおっさんにかわいい女の子がついてくる)がして、この場合どういうストーリー展開するんだろう、ってすごく気になっていたんです。
が、公開している劇場は離れたところにしかなく、年が変わってようやくDVDで観ることができました。

↑この2人が主人公。

まず、いきなり鑑賞後に知った事実を書きますけども…
このおっさんがジョエル・マーレイっていう名前なんですけど、なんとビル・マーレイ実弟らしいんですよ!
ビル・マーレイに弟いたのか!ってまずそっちに驚きました。
ネット検索かけてみたところ、これまでは映画より主にTV系のドラマに出ていたみたいで、道理でこれまで知る機会がなかったわけだと。
(『アーティスト』に出ていたみたいですが、こちらは未見。)
兄に負けず劣らず、悲壮感漂う良い顔をするおっさんなので、これから映画出演が増えるといいなーと思います。

あ、それと『スーパー!』を連想したり映画の中で『ジュノ』が出てきたりして、エレン・ペイジとこの映画の女の子、タラ・リン・バーを比較しちゃったんですけど、僕は圧倒的にタラ・リン・バー派です。(何の話だ)
エレン・ペイジは眉をひそめてニヤッとかドヤッて顔がちょっとイラッとくるんですよね。
でも、『インセプション』の時とか、『スーパー!』のコスプレ姿とかは可愛かったなぁ…(何なんだ)
とにかく、タラ・リン・バーが可愛かった!


この子ももっと、これから映画で観たいです。可愛いだけじゃなく、本当に良い役者だと思いました!


で、映画の感想なんですが、素直に面白かった!(∩´∀`)∩
冒頭、主人公(以下、おっさん)が下らないテレビ番組に辟易している姿から始まって、そのテレビ番組の出演者達を殺すのがクライマックスになっているように、まずは「最低で下らない糞以下のテレビ番組」を作っている奴らとそれを喜んで観る奴らがメインターゲットになっていました。
このテレビ番組が本当にひどすぎる。笑
「娘を甘やかしまくる富裕家庭」をフィーチャーしたリアリティ番組、偏見を垂れ流すワイドショー、ジャッカスみたいなやつ、歌が下手すぎる障害者を笑いものにするオーディション番組…etc
アメリカでは実際にこういった番組が流れているらしく、僕もYoutubeなどで見たことがあり、いくつかは、ああ本当にこういう感じなんだよね、って思えるものがありました。
(同じシチュエーションのオーディション番組を見たことがあるんですが、この映画の主人公同様、司会者のバカにしっぷりにもんのすごい腹が立ったのは覚えています。)
他にも、ケータイやらツイッターやら、メディアへの批判が結構見られました。
この辺りは、テレビ番組に影響を受けてヒーローになる『スーパー!』と真逆だなぁと思いました(うろ覚え)。

で、他にターゲットになる奴で重要なのが映画館でマナーが悪い奴!!
映画館で映画を観ている最中にケータイに出て、あろうことかそのまま話し続ける奴。
僕は幸いなことに、今まで映画館に通ってきた中で、こんなキ○ガイに出会ったことはないんですが、どうやら実在するらしいんですよ、この日本にも。
松本人志が、具体的な所は忘れたのですがマナーの最低な奴らの話をしているときに、「殺したらあかんのかなぁ!!!??」と言っていましたが、これに出会ったら恐らく僕もそのくらいの気持ちになってしまうと思います。
(去年のベスト1、『桐島』を観ているときに同じ列の女の人が途中20分くらいケータイ開いていたときはなかなかの殺意が芽生えました。こういう時に限って隣じゃなかったりするから注意もできなかった…。その友人らしき人は隣で観ていたんですがどういう心境だったんでしょうか。女友達ってこういうの言えなかったりするんでしょうか。でも『ブライズメイズ』なr)

こういう奴らをおっさん&女の子がバンバン銃でぶっ殺していくので、それはもう正直溜飲が下がります。
(日本の映画館で、それぞれにマナー喚起CMを作ってるけど、この映画のシーン流すべきだと思います。)
映画館の一件では、ケータイ出るクソ女やポップコーン投げつけてくる男のグループの中に、眉をひそめている女の子がいるんですが、この女の子は「私語を慎んでくれたから」とちゃんと殺さないでおくのは本当に良かった!
あと、実際には殺さないけど、2人の中で次のターゲットは誰にするか、の話に『ジュノ』の脚本家が出てきたのには笑いました。
大丈夫なのか!?そんなこといって!

が、基本的にはそれらも全部自分たちの偏見なんですよね。
それは最後、「笑い者にされた障害者の男の子が自殺未遂したのはお前らのせいだ!」とオーディション番組に乗り込んでいったら、実は本当の原因はもう番組に出さない、と言われたことだった、と判明するところに表れていると思います。
それと終盤、聞いていた女の子の境遇が実は嘘で、両親が心配して捜索願を出していることが判明→おっさんがキレて家に返す、この件の中で、もう1台車が必要だ、ということになり、レストランでちょっと絡んできたおっさんを絞殺して車を奪っちゃう。
もうただの強盗でしかない。
どんどん暴力が暴走していって、最終的には代弁するつもりだった障害のある男の子も殺しちゃう、もう訳がわかんなくなってます。
で、警察に撃たれて2人とも死亡…。
そういうオチがちゃんとついてたので、ひとまず良かったな〜と思いました。
やっぱりこういうのは良くないんだと。笑
狼の死刑宣告』なんかも思い出しちゃいましたね。

でも、女の子の台詞ですごく心に残るものがありました。
「自殺するのは、間違った人を殺しているのと同じよ」
じゃあ殺すのに相応しい人間はいるのか、というとこの映画の2人みたいなことになってしまうんですが。
でも、吐き気をもよおす『邪悪』な奴も本当にいるんじゃないか…とか思ってしまったり。(危ない!)
とにかく、自殺するのはどれだけ駄目なことか、なかなか説得力がある言葉なんじゃないかと思ったんです。

この映画を完全に理解できるのはアメリカに住んでる人たちだろうなと思ったんですが、それは向こうのテレビ番組や世俗に精通しているから、だけではなくて、もう一つ、銃社会に住んでいるということです。
この映画でやっていることは、アメリカではやろうと思ったら簡単にできちゃうんですよね。(すぐ警察に捕まるor殺されるだろうけど)
だからもっと、この2人のやってることが身近に感じられて怖いんじゃないかと。
それと、劇中、主人公が偏見的なワイドショーの司会者に対して、賛同している部分もある、というんですがそれは「銃規制反対」だったと言う。
「このまま銃が簡単に手に入るような状況が続けば、いずれこういう奴が出てくるんだよ!」っていうメッセージだと受け取りました。

最終的に言いたいのは、そういうメッセージも重々わかる、けどムカつく奴らを殺していくのはやっぱり溜飲が下がるし清々しくて気持ちいい!ということです。
それは、もちろん映画内だから。いいじゃん。ブラックユーモア最高!ということで。

あ、あと、細かいことなんですが、ベッドで互い違いにして横に並んで寝る2人を上からのショットで映してるシーンがぐっときました。


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この映画ヒントにしたんじゃ?ってくらい色々似てます。
結構忘れているので、近々また観たい。

キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)

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クロエ・グレース・モレッツのヒット・ガールが最高すぎる!!
ヒット・ガールになら殺されてもいい、と思っている人種です。

500年後の世界にはもうバカしか残っていないかもしれない、と最高に笑えて実は笑えない未来を見せてくれる。
男が金玉を打つ姿を延々と流すテレビとこれを楽しむ視聴者、この構図が『ゴッド・ブレス・アメリカ』と似てます。
大統領登場シーンは涙を流して笑いました。

劇中の映画館で、これと、『フード・インク』と、『マン・オン・ワイヤー』のポスターが貼ってありました。
福音派宣教会が開くサマーキャンプで子どもたちが洗脳されていく様子を映した恐ろしい映画。