映画館で観た映画(9月編・後半)

早速1本目!

サイド・エフェクト

★★★
ルーニー・マーラチャニング・テイタムという黄金夫婦に惹かれて観に行きました。見てくださいよこのルーニー・マーラの透明感を!一方のチャニング・テイタムチャニング・テイタムらしくないチャニング・テイタムで物足りなかったですけれども…。まあそれはともかくとして、中盤までは非常に楽しく観れました。というのも、ルーニー・マーラが実は…じゃないの?という疑惑が出てきた辺りから、すーっと話が小さいところに収縮してしまった感じがしたんです。抗うつ薬の副作用が原因ならば、相手は製薬会社をはじめとした連中で、自分の職業生命をかけて精神科医はこいつらとどう戦うんだろう、これは見ものだ!と期待しちゃって、いや事実、中盤まではそういう描き方をしていたと思うし、この展開には萎えました。ただ、鑑賞後他の方の感想を読むうちに、もったいない観方をしてしまったような気がしたりも。それと自分が思ったよりルーニー・マーラのことが好きなことに気がつきました。だからこそ大好きなルーニー・マーラが大好きなチャニング・テイタムを刺し殺す展開に激しく動揺したり、やっぱりルーニー・マーラが龍の刺青をこさえて製薬会社と戦う展開が観たかったな!とかそんなことを思ったりもしました。終盤まで、えールーニー・マーラが?本当は違うんだよね、嘘だよね…とか考えたりしちゃって、ルーニー・マーラ悪役オチをなかなか受け入れられずカタルシスを感じられなかったりも…。そろそろルーニー・マーラが報われる映画が観たいです。

エリジウム

★★★
ニール・ブロムカンプ監督の前作『第9地区』が大好きで、劇場で予告編を観るたびに期待が高まっていた1本です。率直に言って、微妙だ…という感想です。ニール・ブロムカンプ監督十八番の「ガジェット感」が効いているようで効いていないのが最も残念でした。パワードスーツを身体に埋め込んで装着する、このアイデア、そして施術シーンまでは良かったのですが、戦闘シーンとなると特にガジェット感が強調されることもなく、割とさらっと力が強くなったんだなと分かる程度で、パワードスーツのどのギミックがどう作用しているのか、そういうフェティシズムに踏み込んで欲しかったです。あと、これは某掲示板で観たコメントなのですが、性能の劣る旧式のパワードスーツが、最新装備に苦戦しつつも勝つロマンを描くべきだったでしょう!!性能差をしっかり見せた上で、窮地に陥ったマックスが機知をめぐらせて戦う!!これがあればググーッと好きになったのに!!もう!!ニール!!まあ、それでもニールをかばいたくなる僕としては、きっとハリウッドで大作をつくる上で、どう考えても大して必要ではなかったマット・デイモンジョディ・フォスターのキャスティングをせざるを得なくて、きっと思うように作れなかった部分もあるのだろうなーと思っています。シャールト・コプリーの悪役はさすが素晴らしかったです。電磁シールド展開が最大の盛り上がりポイントだったかなー。次作に期待です。

『凶悪』

★★★★
正直言うと途中睡魔が襲ってきて危うかったのですが、新聞記者が汚れた民家の窓をこすって中を覗くと―から抜群に面白かったです!!死体切断シーンやらおっぱいやら、きっちりやることやってる邦画はそれだけで応援したくなりますが、全体として気に入りました。一部ではウケの悪い新聞記者の家庭パートですが、一番イヤ〜なシーンは常にここでした。もはや殺人に何の抵抗ももたないピエール瀧リリー・フランキーは「向こう側」の人間に振り分けられて、彼らがどんどん人を拷問して殺めていくシーンには恐ろしいと思いこそはすれど、どこか安心して観ることができる部分があります。対して、ボケてしまった夫の母親の世話を託され、じわじわとストレスを溜めていく妻、それに目を向けず手を差し伸べようとしない夫、この家庭パートは僕らの日常に最も近い、避けがたい葛藤であります。大きな凶悪と戦おうとして、身近な人の苦しみに気づけなくなった人間が描かれているところが、この映画がより面白いものになったのだと思います。まあ、妻役の池脇千鶴殺人的に可愛いので、観ている間山田孝之の態度にむかっ腹が立ってしょうがなかったのですが…。それともちろん、ピエール瀧リリー・フランキー、特に先生役のリリー・フランキー最高でした。

地獄でなぜ悪い


今年度ワースト候補作です。どの画像を貼ろうか悩んでいたら、↑を見つけて思わずこれにしてしまいました。「なにも考えずに」観れたら楽しめたんでしょうか。そういうふうに作ってください。
いろいろ文句言ってもそれすら織り込み済みで手の内にいるんだよ、と思われるようで余計嫌気がさすので、シンプルに。役者の演技が苦手(國村隼はいつも通りで良かった)。台詞回しが苦手。演出が苦手(ヘタ?)。映画館で上映中のスクリーンの前をクルーが横切るシーンもなかなかでしたが、監督が「よーーい!!スタートォォォ!!」と叫んだあとそのままカメラの前に立ち続けるシーンが最悪でした。あの監督が出るシーンはどれも頭痛がするほどげっそりしました。これが面白がられる状況にも悲しいものがあります。あぁ、同じくらいの時期に『凶悪』があって本当によかったな、と心底思います。園子温監督作は、『愛のむきだし』と『冷たい熱帯魚』(後半除く)は大好きだったんですが、今見返したらひょっとして違う印象になるのでは、と思い始めてきました。