『宇宙戦争』

原題:War of the Worlds(2005/アメリカ)
監督:スディーブン・スピルバーグ
脚本:ジョシュ・フリードマンデヴィッド・コープ
原作:H・G・ウェルズ
製作:キャスリーン・ケネディ、コリンウィルソン
出演:トム・クルーズダコタ・ファニングジャスティン・チャットウィンミランダ・オットー、ティム・ロビンス

★★★★★

賛否両論の作品で、なんとなーく地雷のような気がしてこれまで避けてきたんですが、観てみました。

超面白かった!!

SFアクションだと思っていたこの映画、蓋を開けてみたらSFパニック・ホラームービーだった…!!
この予想の裏切り、すごい嬉しかったです。

始まりから中盤まではもう完璧と言っていいじゃないでしょうか。テンポ早いし、何よりも描写、演出がすごい!!落雷したところを見に行くと、地響きと鳴き声のようなものが聞こえてきたかと思えば、地割れが発生、地割れが建物に伝わってガラスが割れ、建物が崩れ、地面が動いていって…地下からトライポッドが地面を割って登場!!トライポッドが咆哮する!!シーンは本当に恐怖を覚えました。

その後の街が破壊されていく描写もリアルで、終始鳥肌が立ちっぱなし。
(墜落した飛行機の様子なんてこんなふうになるのかと超怖かったです)

その後、こういった事態において人々がパニックに陥ったらどうなるのか…を表す場面も恐ろしかった。主人公たちの車が人の群れのなかにはいっていくんですが、当然みんな車を奪おうとしてくると。ここで、穴が開いたフロントガラスに素手をつっこんで、血を流しながらガラスを割って入ろうとしてくる人がいて、ああもう恐ろしい!と思うばかりでした。途中、ある人の地下室に匿ってもらう場面があるんですが、ここのシークエンスが少し長く感じた。そこ以外はずーっと画面に釘付けでした。最後、死んだだろうと思っていた兄貴が、元妻たちがいる家から普通に出てきたのはあれ、っと思いましたけど、このよく出来たパニックムービーの中でそんなことは些細な事だと思います。

要は、ある日突然宇宙人が襲ってきたらどうなるのか、の部分がどれだけリアルに描かれているかが重要であって、最終的に宇宙人たちは地球の微生物が原因で倒れていくんですが、そこの理屈なんてどうでもいい訳です。宇宙人たちは人間から血を抜き取って何をしようとしていたのか、とか、なぜ急にシールドが解けたのか、とか向こう側の理屈みたいなものがほとんど描かれないことに憤慨するのはおかしい。だって相手は宇宙人なんだもん。すべてが全く未知で当然。向こうが考えてること、やろうとしてること、弱点、その他の謎すべて、分からないのは当たり前。むしろ、そこを描かなかったことがこの映画のリアリティにすごく繋がっているんだと思います。

最後、トム・クルーズが軍隊に向かってなにか叫ぶ、
トライポッドの鳴き声でなかなか聞き取れないがようやく聞こえる、「鳥だ!!」
軍人が目をやると、鳥がトライポッドにとまっていて、シールドが解けていることがわかる、軍隊、ジャベリン一斉発射!!
これまですべての攻撃手段が一切通用しなかった相手に、とうとうミサイルを撃ちこむ!!
トライポッドがゆっくり地面に倒れる!!
カタルシスもちゃんとあるし!!サービス満点じゃねぇか!!

完全擁護派なのでついつい熱くなってしまいました。『宇宙戦争』っていう邦題が良くなかったのかな。『地球侵略』だったら良かったのか?

あと、主演のトム・クルーズ、非常に良かったです。僕は彼が二枚目的な役を演じるより、ダメおっさんぶり、というかちょっとキレてるキャラを演じている時が最高に好きです!!(『マグノリア』なんて最高!!)この映画のトム・クルーズは奥さんと別れて子どもと別居しており、子どもがピーナッツアレルギーを生まれながらにして持っていることを知らなかったり、ダメ親父でもありつつ、ずーっと子どもを守ることを第一に考えているよき父親でもありました。

娘役のダコタ・ファニングは、かわいいいけど怖さもある顔だな〜と常々思っていたんですがこの映画ではそれが存分に発揮されています。怯える演技うま過ぎです。

それと、息子のジャスティン・チャットウィンも良いキャラクターでした。状況を打開すべく、軍隊と共に宇宙人と戦おうとする姿勢を彼は何度か見せるんですが、草原で軍隊VSトライポッドの戦いで彼は完全に決意する。父は当然、息子を止めようと必死に説得するんですが、最終的に息子の決意に父の心が折れてしまう!!トム・クルーズがふら〜っと息子から離れていくシーン、素晴らしかった。もう本当に人間がよく描けているな〜と思いました。

この映画を的外れに批判している人たちに「お前わかってねぇよ!!」と大声で言ってやりたいほど、『宇宙戦争』、スピルバーグ作品でまだまだ観ていないものは多いんですが、今のところ『プライベート・ライアン』を超えるほどに気に入りましたよ!

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ポール・トーマス・アンダーソン監督の群像劇。
エイミー・マンのサントラも素晴らしい。

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これも傑作!
過激なバイオレンス描写にはっとする。

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20年前の映画ですが、今だに衝撃を受けます。
色褪せないっていうのはこういう映画のことを言うんだなと。