『セレステ∞ジェシー』


★★★★

昨日から急にアクセス数が増えたな〜と思ったら『ザカリーに捧ぐ』で検索している方が多いようでした。近頃再放送かなにかあったんでしょうか?なぜこのタイミングで急に…と少し不思議な気分です。
それと、はてなスターがちょこちょこ付けて頂けるようになって、大変嬉しいです。モチベーションが上がりますね!(と言いつつ更新頻度落ちてる)
コメントなども頂けたらより一層喜びます!一言でも批判でもなんでも構いませんので、気兼ね無くよろしくどうぞ!

さて、今回は『セレステジェシー』についての感想を。
鑑賞後、だいぶ時間が経ってはいるのですが、劇場鑑賞したものは書くと決めているので、思い出しながらいきたいと思います。
関係ないですが、この2人、『40男のバージンロード』の主人公の奥さんと、主人公のゲイの弟の2人ですね。

自分らしさに自信をもって生きてきたがために、本当に大切なものを見失ってしまった女性が、仕事や恋愛に揺れながらも自分を見つめ直していく姿を描く。学生時代に恋に落ち、そのまま結婚したセレステジェシーは、誰もがうらやむ理想的なカップルだった。しかし、セレステの提案で「永遠に親友でいられるように」と30歳を機に離婚する。離婚後も隣同士の家で毎日顔をあわせ、親友関係を満喫していた2人だったが、ある出来事がきっかけで毎日会うことができなくなってしまう。そうなって初めて、セレステジェシーの存在の大きさに気がつくが……。(映画.comより)
ストーリーを読んだ時点で、これは観に行こうと決めていた映画です。
なぜかというと…ちょうど長年付き合っていた彼女と割と最近別れまして、別れた後の相手とどう付き合っていくのか、ましてや未練タラタラなら…と、性別や結婚などなど色んな事情は違えど、人事とは思えない所があり、映画館で予告編を観たとき「これは俺の映画だ!」に近いものを感じていました。

で、肝心の内容はと言うと、とにかくどういう結末になるのか、二人はどういう選択肢をとるのかが気になっていたので、結末の話からになるんですが、2人は別々の道を歩むことにした、ということで終わります。これでやっぱり2人がいい!ってなったら机ひっくり返したくなるところだったんですが、そうはならず安心。ここの台詞で、父になる男(アンディ・サムバーグ)が「不安だ」と言うと、ラシダ・ジョーンズが「(奥さんを)愛してる?」「なら戦う価値はあるわ」というところはもうズキンズキンきて、胸にとっておきたい台詞になりました。

それと、結婚式のシーン。ラシダ・ジョーンズが挨拶するんですが、ここも良かったですね〜。『ブライズメイズ』じゃないけど、どんどん心情が表に出てきちゃって、会場がどんよりした空気になり、ボロボロになっちゃうかと思えば、絶妙なラインを絶妙なバランスで渡った、素晴らしいスピーチでしたね。内容ははっきり言って全然覚えていませんが、「上手い…!」と思いました(演出とかではなく単純にスピーチとして)。

一方、ノれなかったところも少々。
まあ、まずこの2人の関係がイレギュラー過ぎるのもあるけど、最後のキスシーンですよ!それはやんないで終わったほうが良かったんじゃないの?付かず離れずの関係を離婚という形できっぱりしめたかと思えば、またこんなことしちゃって…。あれがハグやほっぺにキスならいいんですけど、割と本腰のキスだったのがどうも気にかかる。お国柄の違いとかじゃなく、あれは男女のそれだった、と思うんですが…。『ロスト・イン・トランスレーション』も最後いらなかったよ!(八つ当たり)

あとはラシダ・ジョーンズの無自覚な傲慢さや偏見の部分でしょうか。僕があまりにも「俺の映画」として観ようとしたことが原因だとは思うんですが、しっくりこず。ティーンポップのアイドルの扱いは単純にひでぇな、と思いましたし。この辺り女子なら共感できるのかな。

それと、ギャグに関して、下ネタギャグを映画館で観たい!という夢が叶いましたが、客層は1人で来ていた若い女の人やカップルがポツポツ、といるだけでみんなしらけてました。いいじゃん、お前らもこういうことやってるんだから!笑っちゃえ!と思うんですが日本ではまだあまり通用しないんでしょうかねぇ。リップクリームをチンコに見立てて…のやつは全然ハマらなかった上に数回あってちょっと萎えましたけども。

あと、イライジャ・ウッドがゲイ役で出てました。それと後半別の展開でゲイが出てくるんですが、ゲイが出てくるとなんとなく陽気な感じになる、っていうのは何なんでしょう。この映画、に限らないような気がするけど、ゲイが出てくることで重くなりかけた空気が明るくなって、なんとなく少し救われた気分になる、みたいなところがありました。身近にゲイがいた事がないのでわかりませんが、若干ステレオタイプというか映画では少し食傷気味な気もします。

まとまりが悪いですが、『セレステジェシー』についてはこの辺りで…。
やっぱり観た後すぐ書かないとだめだ!!(戒め)

(追記)
こちらのブログ(映画感想 * FRAGILE)の『セレステジェシー』についての記事で、思わず胸に来て泣きそうになったラインを引用させて頂きます。
>恋愛や結婚に関してのみ言えば、第三者がどうしても踏み込めない、理解できない『ふたりだけのなにか』が必ずあるのです。
セレステジェシーでいえば、CとJのハンドサインであったり、リップクリームでの下品な冗談だったり、そういうものが。別れてしまうと、『その相手とだけ共有できたなにか』も失うということで、それはとても寂しいことではありますが、でも大丈夫、次の人とまた新しい『ふたりだけのなにか』を築いていけば良いのです。

『リアル〜完全なる首長竜の日〜』


★☆

ここ最近で観たDVDの感想をしばらく書いていこうと思っていたのですが、昨日なんとなくふらっとこの映画を観に行ったので、まずはこちらについて書きます…。

黒沢清監督の作品は、だいぶ前に『アカルイミライ』を観たことがあるくらいで、その時はまだ監督が誰かということに着目していなかったころで、作家性などは僕は全く知りません。最近になって、『回路』や『CURE』の良い評判をよく聞くから観てみたいなーとか思っていたくらいです。

で、今作をなぜ観に行ったかというと、まずは予告編を観て面白そうだったからです。人の精神の中にはいってその人を助ける!なんてSFは、『ミッション:8ミニッツ』とかが大好きな僕としてはたまらなく好物なのです。この設定を、今の日本映画でどこまで面白く観せてくれるんだろう?という期待が高まりました。

次に、好事家たちの間での評判が良い事。金欠状態が続く僕としては、ある程度石橋は叩いて渡りたいところがありまして、劇場に見に行く前にある程度下調べしてから行くようにしてます(不本意ながら!)。中でも、映画監督の松江哲明さんが、WOWOWの「濃厚!シネマトーク」のスピルバーグ特集で、一番好きなスピルバーグ作品に『ミュンヘン』と『宇宙戦争』を挙げた松江哲明さんが、ツイッターで太鼓判を押していたのが決定的で、これは観に行くしかねぇ!となり、映画館に飛び込んだのです。

しかしながら…久しぶりに映画館で「早く終わってくれ」と本気で願ったほど、特に後半が苦痛な映画でした…。

序盤は、正直かなり楽しんでいました。床に横たわる死体が画面に映りこんだ瞬間ギャー!!と叫びそうなほどビビリまして、この種のJホラー的演出を映画館で体験するのが初めてで、画面に映るものや音などすべてが不穏でどこをどう観ても怖くてたまりませんでした。で、怖いながらもこれがなかなか楽しい、と思えていたりしまして…まあ、ガラガラの劇場の中で、「こういう映画は人とリアクションを共有したい」という思いから、埋まってた席の2つ隣に席をとり、たまたまそれが若い女の人だった、ってことでテンション上がっていたこともかなりでかいと思います。死体が映った瞬間、後ろの席のカップルの女の人が声にならない悲鳴みたいなものを上げていたのもまた良くてですね…。そんなわけで、怖い!!やめて!!でももっと来い!!みたいな感じで楽しんでいたのが序盤です。が、最初の死体がピークだったかな、と…。人形人間、ゾンビなどなど出て来ましたが、全部最初のショックを下回ってたんですよね。ギャ…あれっ?って感じで拍子抜けするような。

で、話が進むに連れてホラー的要素がどんどん無くなってくる。それはいいんです、そういう映画ではないことはわかっていたし、勝手にもっと怖がらせて欲しいと思っただけなので。ただ、「佐藤健が自殺未遂で昏睡状態の綾瀬はるかを助けるためにその精神に入っていたかと思えば、実は昏睡状態なのは佐藤健だった」ということが判明した辺りから一気に話がつまらなくなって…。この手の、「相手が○○だったかと思えばそれは自分だった」ってもう使い古された手法で、手垢がつきまくってると思うんですよ。それもこの「意識下へダイブ!」なんて話だったら、現実と非現実の見境がつかなくなることとか容易に想像できるわけですし、この展開に何のショックも受けません。が、これがオチなわけではないのが救い。そこからは綾瀬はるか中心で話が進むわけですが、ひたすら退屈なんですよねーこれが…。1つ理由をつけるなら、今度は綾瀬はるかが、佐藤健を助けるためにセーシング(相手の意識下に入り込む技術)を繰り返していくわけですが、結局「何をどうすれば佐藤健は救われるのか」がいまいちピンとこないんです。やたら出てくる、少年らしい少年(怖くないという意味で)、「完璧に描けた」首長竜の絵、などなどキーになりそうなものが転がっていて、まあそれらが結局佐藤健のトラウマになっていて―て感じで話が収束するんですが、観ている間「楽しくない」んですよ。正直目の前で自分をいじめていた奴がほぼ自業自得的に死んだからといって、罪悪感は芽生えどそれほどのトラウマになるってのもなかなか納得しづらいし。

最後、久しぶりにサービスシーンが、首長竜登場&大暴れシーンがあるんですが、ここはすっごく微妙でした。佐藤健をどこかに突き飛ばしては、綾瀬はるかが駆け寄って、っていうのは数回繰り返すとこはどういう気持ちで観たらいいんだ??って感じで、笑ってしまいました。そういう意味では面白かったですが、パニックものにいまいちなり切れてない、残念な感じ。綾瀬はるかの「これ(手作りネックレス)が欲しいんでしょ!これはあなたにプレゼントするから、だからあっち行ってよ!」って言い草もひどいし、それで解決するのもなんだかな、だし。

でも、一番観ててきついのは「嘘くさい、胡散臭い演技」ですよ。日本映画じゃ「僕は君を助けるために悪戦苦闘してた」とかいう台詞は浮いてるし気持ち悪いんですよ。いろんな人が指摘してますが、セーシング後、「成功だ」って周りにいる医者?たちが拍手するのも古い。中谷美紀のミステリー感もくどいし古い。後半、実は自分が助けられる側だったと気づいた後の佐藤健の気が抜けたような喋り方も作ってる感満々で嫌だ。オダギリジョー染谷将太たちの会話も不自然。
で、これらの不自然さは、佐藤健の精神の中、あるいは夢の中だったから、という解釈もあるようです。が、もしそういった意図での演出だったとしても、それが活きるような土台が日本映画にはまだできていないと思うんですよ…!嘘くさい演技は「邦画大作」には山とあるわけで。単にまたか、とイライラしてしまいました。

黒沢清監督にはコアなファンがいるでしょうし、その方たちみたいに僕は作家性など全く理解していないのもあるでしょうが、この作品はなかなか観ていて苦痛でした。『回路』早く観たい!終わり!

(追記)
あ、1箇所個人的にすごく好きだった部分があったのを思い出しました(他にもあるような気がするけど、中盤からは苦痛だったのでほとんど悪印象しか残っていないのもあります)。佐藤健がセーシングしている前半、綾瀬はるかが暴走しはじめて、イヤーな感じでセーシングが切れて、ガバッと目覚めたときにセーシングの機械にぶつかるところ。笑 あの機械にかけられて、あんな形で目覚めたらガシャーンてなりそうじゃないですか。ちょっとコミカルでもあったし、なんかあのシーンが好きでした。

『ヤング@ハート』


★★★★


ヤング@ハート(Young@Heart)は、平均年齢80歳を超えるおじいちゃんおばあちゃんたちが組んだ、ボブ・ディラン、ジミヘン、ジェームス・ブラウンなどのロック、R&Bを歌うコーラスグループ!本作は彼らを追ったドキュメンタリー。

例によって前情報をいれずに観たので、はじめは「なんてロックなおじいおばあがいるんだ」「メリケンはやっぱり何かが違う」とかなんとか思っていたのですが、早々に音楽監督や指揮を担当する中年くらいの男性ボブ・シルマンなる人物が「次はこの曲をやろう」っていう提案をしているところが映り、そういうことかと納得。がしかし、老いてなお「若い」と感じさせるものがありました。

それにしても、ボブが提案する曲はなかなかチャレンジングで、よくこれを老人にやらせようと踏みきれたもんだと思うようなものばかり。中でもソニック・ユースは一線を越えてるだろこれ、と!”スキッツォフレニア”は彼らの中でも割かし落ち着いた印象の曲だけど、キンキンしたギター、不協和音、などなどソニック・ユースらしさ全開の曲。まずは原曲を聴こう、ということでなかなかの大音量で鳴らすんですが、耳をふさぐじいちゃんばあちゃんの姿がちらほら。が、その中にも、というか多くが、足でリズムを取ってノッている人たちがいるのが衝撃的で、これはお国柄なのか、いやそれにしてもこの人たち若い!!と思わずにはいられません。

では普段この人たちはどんな音楽を聴くのか、というと、皆クラシックかオペラ、と答えていました。じゃあなぜヤング@ハートでロックを歌うのか、というとやっぱり楽しいからなんでしょう。たとえ歳を取ったからといっても、新しい何かにチャレンジすることはできるのだし、それは自分にとって刺激的で、何より楽しいのだ、と。それも同年代の老人で組んだグループでできるのはまた最高なのでしょう。彼らの口から直接こういう言葉が出たかどうかはあやふやなんですが、観たら十分伝わってきました。

このドキュメンタリーが撮られた頃には、人前に出て歌う機会がある程度定期的にあるような時期で、いくつかのライブに向けて練習しているところから始まっています。で、音楽監督を務める、グループのリーダー的存在ボブの指導が厳しい!じいちゃんばあちゃんだからと言って容赦しません。「どうするんだ?これが歌えないなら、もうやめよう!」「毎回その2行で詰まってる!」「もうこの曲は終わり。じゃあ次の曲いくぞ」ってな感じで、観ててもうちょっと優しくしたげて…と思いたくなるんですが、これがまたおじいおばあの心に火を付けるんでしょうね。優しくするのは単に甘やかしになってしまっていることもある、求めれば応えてくれるのだということがわかる。そしてその応える力があるんだと、ボブのおじいおばあへの信頼が伺えます。

そんな元気に見えるヤング@ハートのメンバーも、おじいちゃんおばあちゃんですから、中には心臓発作を繰り返している人がいたり、持病が悪化してしまったりする人がいます。そして、このドキュメンタリーを撮っている7週間の間にも、1人、また1人とメンバーが亡くなっていきます。みな、命のギリギリまで次のライブに向けての練習を欠かさず、またヤング@ハートに戻って歌うのだという人ばかり。厳しいボブのほうから、今日は身体を休めて、と労りの言葉をかけるほど。うまく言葉にできませんが、これがヤング@ハートというグループの裏の特徴で、これがまたすごいんですよね…。一緒にライブに向かって練習してきた仲間がある日突然亡くなり、それでも周りの人たちは哀しみにくれたり、あきらめたりせずにライブに出て歌う。この姿には心を強く打たれます。

と、ここまで長々書いて来ましたがこの辺りでまず1曲。

ボブ・ディランの”forever young”のカバー。映画のなかでこの曲がかかったとき、それまで僕は楽しくも落ち着いて観ていたのですが、歌い出しに心を掴まれ、コーラス部分ではいきなり号泣してしまいました。素晴らしいメロディーに加えて、「フォーエバー・ヤング」という言葉がすごくこの人たちを体現したものになっていて、とにかく理屈を越えたものを感じて一気に涙が溢れでたのだと思います。

次はこれ。

はからずもライブ前に亡くなってしまったメンバーに向けて歌うことになった、コールドプレイの”fix you”。けど、これが、本当にはからずもなんだけど、ものすごく送り出す歌としてしっくりきていて、また泣けるんですよ…!!”and I will try to fix you”って…(号泣

最後は、元気にshould i stay or should i go!と思ったら曲がなかったんで、トレイラー!

この映画を観て、この人たちみたいなおじいになりたい!!と目標ができました。老人ホームでお遊戯なんざクソ食らえ!ロックで、パンクなじじいになる!!

『キラー・インサイド・ミー』


★★★☆

最近あまり更新できていないので、この1ヶ月あたりで観たDVDの感想を、思い出せる限り書いていこうと思います!

まず1本目は『キラー・インサイド・ミー』。
何の予備知識もなく、「なんか映画秘宝の年間ランキングに入ってた気がするな〜」ぐらいの気持ちで借りて観たところ、なかなかの衝撃をくらいました。この手の、主人公が完全に狂人で終始観客を突き放す映画だったとは知らず、まんまとひっかかって大変気持ち良く(悪く)、ショックを味わいました。

主人公が狂人、ということもあるんですけれども、なかなかこいつのキャラクターを掴ませないんですね。まともな警察官かなーとか思って観てたら、取締りにいったはずの娼婦とやっちゃうし。序盤でこいつ狂ってる!って決定的に思わせるのは、浮浪者が小銭をせびってくるシーンで、「ほらよ」と手のひらに吸ってる葉巻を押し付ける!!怖い!!その後、恋仲になった娼婦を「愛してる」と言いながら革手袋をつけた拳で殴り続けて殺すシーンも本当にイヤ〜な感じでした。その後、旦那も殺して上手いこと痴情のもつれで殺しあったように見せかけるんですが、本当に怖いのはこいつの動機が一切読めないこと。殺人そのものが目的になってる狂人ですね。

そしてなにより、この映画、終り方がすごくカッコいいんです。
貼っちゃいますが

めっちゃカッコいい!!
ちょーっとだけ『デビルズ・リジェクト』を連想したんですが、要するに狂っていようと自分を貫いて死んでいく格好良さですね。違うのは、こちらは圧倒的にカタルシスを与える作りになっていること。音楽も高まって、ガーッと盛り上げて爆発!したら、"Shame Shame on you♪"って古き良きアメリカンポップスが流れてっていうこの緩急の付け方も素晴らしいですね。こんな終わり方されたら、いくら中盤ぐだろうとも、良かった!!って言わざるを得ません。映画館で観てたらスタンディングオベーションしたくなったくらいだと思います。

そのほかにもジェシカ・アルバとのセックスがSMじみてて、豊満な尻が叩かれまくって真っ赤に腫れ上がっていたりとか、特筆すべきところもあるんですが、なにせ終わり方が素晴らしいので、それを観るためだけにも観る価値が十分にあると思います。主演のケイシー・アフレックのサイコっぷりも出来が非常に良く、本当に怖いので、終わり方だけが良いというわけではないんですが、最近観た映画の中でも有数の素晴らしいエンディングだったので、そこを押さずには要られません!

24アワー・パーティ・ピープル [DVD]

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何度か借りては、観ずに返してしまった映画。
気づいたんですが、マイケル・ウィンターボトム監督の映画は実は『キラー・インサイド・ミー』が初めてでした。

ウェルカム・トゥ・サラエボ [DVD]

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かと思えば、何年か前にこれを観た覚えが…!
ほとんど忘れてますが、最後に記者が取った選択は、いまだに記憶に残っています。

『きっと、うまくいく』


★★★★☆

ツイッターなどであちこちから良い評判を聞いていたこの作品、期待しながらも「インドのコメディ映画って少しキケンな匂いがするな…」と思いつつ、映画の日に友人たちと鑑賞して来たところ…

こんなに映画館で泣いたのはいつぶりかってくらいに号泣してしまい、観終わった直後には上半期ベスト1決定!!と言わずにはいられないほど気に入ってしまいました。

舞台は日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。未来のエンジニアを目指す若き天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョ―、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラージュ―の”三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させるハチャメチャ珍騒動を巻き起こす。
彼らの合言葉は「きっと、うまくいく!!」
抱腹絶倒の学園コメディに見せかけつつ、行方不明になったランチョ―を探すミステリー仕立ての”10年後”が同時進行。その根底に流れているのは、学歴競争が加熱するインドの教育問題に一石を投じて、真に”今を生きる”ことの素晴らしさを問いかける万国普遍のテーマなのだ。(公式サイトより)
とりあえずあらすじを書いてみたものの、鑑賞からしばらく経っていて抜け落ちているところもありますが、自分の感想をまとめてみます。

最初に、気になったところから。
観る前に予想していた、インドのコメディ映画の笑いは合わないんじゃないかという危惧は、割と的中していた感じです。序盤の飛行機を緊急着陸させるくだり、大学の先輩に洗礼を受けるシーン、などなどほとんど寒くて、ああーやっぱりこんな感じできたか…きついなーって思ってました。比べちゃ申し訳ないけど、セス・ローゲンとかジョナ・ヒルとかポール・ラッドとか究極を言うとサシャ・バロン・コーエンみたいな笑っていいのかさえ危ういブラックジョークを生み出すコメディアンまで出てきてる今、こんなギャグじゃちょっともう笑えないよ、っていうのが正直な感想で…それでも、映画の日だけあってお客さんが多く、さらに年齢層もちょっと高めだったので、この種のお年寄りが安心して笑えるギャグがウケていたのはまだ救いにはなっていたんですが…。

で、中盤?(上映時間が長くてわからなくなっている)の成績2位のクスリ漬けで勉強に勤しむ奴が、学長や教育長に壇上でスピーチをするシーン。ここで急に下ネタが入ってくるんですねー…いや、下ネタって呼んでいいか微妙なラインですが、あそこだけギャグの質が少し違ったような。ヒンディー語で「奇跡」と「強姦」の発音が似ているらしく、ランチョーが原稿を書き換えてしまうんですね。で、なんでも丸暗記のガリ勉君は「学長はこの大学で数々の”強姦”をなされた」とか言っちゃうのがギャグになってるわけですが、これはこれで笑えないよ…という。周りはそこそこウケていたので、僕だけかもしれませんが、「強姦」っていうワードが重く感じられたんですよ。強姦犯罪のニュースを聞くと本当に不快な気持ちになるし、それこそレイパーとか名乗ったりしてるヤツのチンコはハサミとかシュレッダーとかで切断してしまって毛糸と針を渡して自分で縫合させてしまえと思ってるし、AVでもレイプものは嫌いだし…これまた笑えなかった。学長がバカにされているにもかかわらず教育長みたいな人がバカウケしてるのはちょっと面白かったですが。

っていう感じで、ギャグに関しては思い出せる限り笑えたところは1つもない…と書こうとしたんですが、1つ思い出しました!
ランチョー以外の2人が、ワースト1,2の成績をとってしまって、ランチョーの名前が近くに見当たらない…落第か…と思っていたら、トップ1だったというシーンで、「親友が落第するのは辛い。けど、親友が優秀な成績をとるのはもっと辛い」みたいな心の台詞が出てくるところ。こういう、キレイ事じゃない、ちょっと醜いけど嘘じゃない、本当の心情がちゃんと描かれているところは良かったですね。
それと、これはギャグとして笑いを狙ってるわけではないと思われるんですが、何かショックなことがあったら必ず、「ド〜ン!」みたいな効果音がなり、画面に映る人物(大体ランチョーだった気が)が目をむいてびっくり顔をする、っていうシーンが何回も何回も繰り返されて、完全にテンドンと化していて実は一番ツボだったりしました。緊迫したシーンでこれやると逆に笑ってしまうよ!でもなんか、インド映画っぽいなぁ、とか思ったり。
(画像を貼りたいけど見つからない!)

以上、ギャグに関しては概ね微妙だった、ような、気がします。
しかし、ストーリーの根本のドラマ部分、ここが非常に良く出来ていたと思います。

メインテーマの、インドにおける教育の現状と問題提起。実際にインドの大学生の自殺率はものすごいことになっているらしいのですが、家族のみならず村を背負って大学に来ていて想像を絶するプレッシャーを背負わされているのだと。落第になって首吊り自殺してしまった学生、自分が退学させられるか親友を売るかの2択をつきつけられ、どちらも選べず飛び降り自殺を試みたラージュ―、などがごまかさずに映されていて、和気あいあいとした学園コメディに終わらない、現実の影の部分を隠さない辺りが非常に良かったです。すでに散々書いてしまいましたが、コメディ的な笑いの部分と落差をつけつつも、絶妙に相まって全体として一貫した印象を持てる作りになってるのがすごいですね。

個人的に一番グッときたのは、実は写真家になりたいファランが父を説得するシーン。彼は生まれた瞬間にエンジニアになる将来を親に勝手に決められていたのですが、ランチョーに押されて自分のやりたいことを貫くことに。しつこいようですが、細かい部分の記憶がだいぶ抜け落ちていて、ここの会話をあまり覚えていないんですが、父親がなかなか受け入れてくれず、皮肉を言ったりしてなかなか良い顔をしてくれない、それでもファランが言葉を続けて親父に認めてほしいんだ、としっかり時間をかけてこの説得のシーンを描いていたのが良かったです。「なりたいものになるんだ!」ってアイアン・ジャイアントをちょっと思い出したり。こういうものに弱いんです、僕。

それと、完璧で欠点らしい欠点のないランチョーとか、ひたすら悪いやつとして描かれていた学長とか、キャラクター設定に関しては、僕は特に気になりませんでした。オチとかも本当にランチョーはひたすら現実感のない憎たらしいほど完璧なヤツだと判明して、ちょっとイヤになったのも確かなんですが、要はファランとラージュ―の2人が重要なんですよ!ランチョーは神みたいなもんで、諭されて変わることができた2人に着目すべきかと。学長も同じようなもんで、悪魔ですよ。この2人は抽象的な存在だと思って観てました。それよりも気になったのは、ランチョーが一目惚れして、結果的に2度破局させることになったカップルの男のほうの値札くん。あいつが少し可哀想に思えて不憫だなぁと。確かにケチかもしれないけど、そんなに悪いヤツでもないんじゃないかな、とか。

あ、それと、インド映画定番のダンスシーン!
退屈なんじゃないか、とかちょっと偏見を持ってたんですが、序盤の寮のシャワールームのシーンで気持ちが上がって一気に心を掴まれました。

他にも書きたいことがあった気がするんですが、なにぶん時間が長くて内容が濃いこと、観てから時間が経っていていろいろと抜け落ちていたりすることなどなどで、この辺りにしておこうかと思います。
最後に、やっぱり男3人組ものにハズレはないなと。

よくわかってる!『ダージリン急行』を思い出さずにはいられない!

(追記)
面白かったシーンをまた1つ思い出しました。
貧乏学生ラージュ―の実家が70年代みたいだ、っていう話で彼の家のシーンになると、モノクロになるんですが、親父が危篤だ!ってことで急いでバイクで駆けつけて、家に着くとまたしっかりモノクロになるというところ。こういうブラックなこともすんのか!ってちょっと意表をつかれました。
インド映画、侮れないですね。

日本映画はもう世界的にみても相当下の部分にあるんじゃないですか。傑作はあるけど、興行収入ランキングにあがるような邦画は見れたもんじゃないし。ハリウッドよとか言ってたけど、日本は数万光年遅れていて、もう取り返しがつかないんじゃないかと思ってしまいます。

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去年話題になったインド映画。
日本公開のだいぶ前にクライマックスシーンを観ちゃっていたので、鑑賞を先送りしています…予備知識なしで観に行ったらぶっ飛んだかもなぁ。

『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

前回の更新から1週間以上あいてしまいました。
しばらく映画を観ていない、というわけではなくて、毎日1本は観てるんですがまとまった文章を書けるようなものがなくて…。

基本的に、このブログでは映画館で観た映画の感想は必ず書くつもりでいるんですが、ここ最近は劇場で特に観たい映画がやっていなくて…。いや、正確に言うとちょっとは観たいものがあるんですが、恐ろしいほどの金欠状態なのでそれを乗り越えて観に行くほどのものではなかったかなという感じ…。

が!!
ここからは劇場で観たい映画ラッシュですよ!!

まず1本目、『ブルー・バレンタイン』のデレク・シアンフランス監督の新作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』!
今回ほとんどネタバレなし!

★★★★

邦題の「宿命」があまりに長いカタカナで霞んでほとんど目に止まらないというこの映画、町山さんや、日経の映画レビュー(評論家の名前忘れた…)ではあまり評判良くなかったですが、非常に面白く観ましたよ!ただアクション映画を期待していくとがっかりするかも!途中退席するお客さんも、結構いたように思いました。

前回と同じく、と言いますか時系列の操作はないものの今回も面白い構成になっていて、1部は銀行強盗をするライアン・ゴズリング、2部はそれを追った警察ブラッドリー・クーパー、3部はその2人の息子がそれぞれ主人公となっています。1部はバイク版『ドライヴ』と言えなくもない感じで、チェイスシーンが超カッコいい。爆音でエンジン音を聴くとこれまた興奮するのでこれだけでも劇場で観る価値があると思います。2部は、正義を通したはずのブラッドリー・クーパーが警察の腐敗に抗う話。アクションの香りがした1部と打って変わって、2部はイヤ〜な感じのするミステリーっぽい感じに。自分は何も間違ったことをしていないはずなのに、徐々に窮地に追い込まれていく、観てていたたまれない気持ちになっていくホントにイヤ〜な感じがよく出ていました。そして3部は、ハイスクールの影を映した青春学園モノになっています。3部とも、ストーリーは繋がっているのにジャンルが全然違う!でもはっきりと3部の線引がされているかといえばそうではなく、絶妙に繋がっていてちゃんと「1本の映画を観ている」感覚なんです。また新しいことをやってのけましたね、デレク・シアンフランス

全面的に押し出されているライアン・ゴズリングは、2部以降は全くと言っていいほど登場しませんが、彼の存在(不在)が1人の警察官や自分の息子に影響を与えていく、という話なので公式サイトやポスターの見せ方は全く正しいと思います。そして、改めてライアン・ゴズリングがいかに魅力的で存在感のある役者か感じ入ってしまいます。前半、生き生きとバイクを走らせて銀行強盗を繰り返してた彼がああなってこうなって、画面に出て来なくなると、観客であるこっちもすごく寂しい気持ちになるんですよ。だからこそ、警察官の苦悩にも共感できるし、最後に息子がとる行動にも胸が打たれるわけです。終盤、とあるシーンでライアン・ゴズリングが映ったときにはまじで泣きそうになりましたよ…

が、言いたいこともないわけではないです。
まず、これは良い点でもあるんですが、3部構成の3ジャンル編成です。非常に違和感なく、上手いことまとめられているのはすごい。ただ、その分それぞれの要素が薄まってしまってるんじゃないかと。例えば1部なら、ようやく銀行強盗が始まったぜ!バイクチェイスだ!と盛り上がってきたところで終わってしまい、不完全燃焼感が残ります。パトカーとバイクのチェイスシーンが非常に格好良く撮れているだけに、もう終わりかよ、と思っちゃうのが正直な所です。それと、個々のキャラクターをあまり掘り下げられもしないんじゃないかなーとか。

ただ!
今作はあえてそういう作りに挑戦しているのだと思うし、十分面白かったしこれで良いんじゃん?!(適当)
あ、それとエンドロールでかかるBon Iverの曲が、映画の終り方にすごくマッチしてるし、余韻引きずっちゃうし、「エンドロールが1曲きっかりで終わる」し、本当に素晴らしかったです。

爆音感もちゃんと感じられたしね!本当に映画館で観て良かった!


※関係ないけど、ブラッドリー・クーパーショーン・ペンリーアム・ニーソンに見えて仕方なかった…。

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

良かったよ、良かったけどもう1回観る勇気の無い映画。
「これ(観る)くらいのこと乗り越えられなきゃ結婚なんて無理だよ!」と宇多丸さんが言ってましたが、確かにそうかもしれない。
これもエンドロールにかかるGrizzly Bearの"Alligator"が本当に素晴らしくて、ああ…ああ…ああああ!!!という気持ちにさせられます。

『素敵な人生の終り方(Funny People)』


★★★

例によって残念な邦題が付けられた日本劇場未公開作品。この前ツタヤの準新作コーナーみたら、最高の人生の終り方〜とか人生のなんちゃら〜とか「人生の」が3つくらい並んでて、何が何だか分かりませんでしたよ。もう、やめよう!!とりあえず人生ってつけるの!!しかも完全にミスリードだし!!

今作、『素敵な人生の終り方』(以下、原題のFunny People)はジャド・アパトーの監督作品。製作で名前はよく見かけますが、監督作品は『無ケーカクの命中男/ノックトアップ)』以来でちょっと久しぶりな感じです。ジャド・アパトー組にハズレなし!と思っていたのですが、今作はあれ?どうしたジャド・アパトー!という感じでした。

とにかくジャド・アパトー作のなかで最長と言っていいほど時間が長い、なんと153分。2時間半強あって、肝心の内容はどうかというと、全く話にキレがなくてダレます。特に中盤以降の、アダム・サンドラーの元彼女とどうしたこうしたの下りなんてただ長いだけでしたよ。今作はいつも以上にアドリブ感を感じたので、もしかしたらそれのせいかもしれませんが…。端的に文句をまとめると、演出にいつものキレがない、人物描写が甘い、観せたいものと語りたいものが分離してる気がする、って感じですかね。

でもやっぱりジャド・アパトー作品にあんまり文句を言いたくないので、ここからは良かったところを書きます。

アダム・サンドラーがセレブ級の、セス・ローゲンジョナ・ヒルが駆け出しのスタンダップ・コメディアンとして登場するんですが、彼らの様子はまるで本物(というかまさに本物だけど)を観てるようで面白かったです。そもそもスタンダップ・コメディアンっていう名前は、「立って話す」っていうところから来てるっていうことも今作を観るまでは知らなかったし、こんな感じでネタ作って舞台でこんなふうに話す笑いの文化があるのか、っていうことを初めて知りました。セレブ級のコメディアンには助手がいて、ネタは全部考えさせてるっていう設定も恐らくリアルなんでしょう。そしてそのトークがこれまた笑える。9割下ネタですが、ジョナ・ヒルの「サオとタマの会話」なんて最高でした。ネタ作ってる様子はただ友だち同士で面白い話を膨らませてるようにも見えて、おかしかったです。

あとは、やっぱりザ・ジャド・アパトー組のセス・ローゲンジョナ・ヒルの存在ですね。今回はジェイソン・シュワルツマンもそこに加わっていましたが、なんでしょう、彼らがいるだけでその映画が数倍面白くなりますね。なんだったら2人で話してるシーンだけでも良いくらい。それと、ラストシーンはなんだかんだ言っても少しグッときちゃったかな。ここでカメラが引いてそのままエンドロールにいけばな…と思ってたらホントにそうなったのでちょっとびっくりしました。

あ、それとダイハードネタでいじられた北欧訛りのおっさんが「イピカイエ〜マザーファッカー」って返すところは最高でした。

なんか尻切れトンボになっちゃったけどこんな感じです。

アダム・サンドラーは正直苦手なんですが、これは大好きです。