『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』

前回の更新から1週間以上あいてしまいました。
しばらく映画を観ていない、というわけではなくて、毎日1本は観てるんですがまとまった文章を書けるようなものがなくて…。

基本的に、このブログでは映画館で観た映画の感想は必ず書くつもりでいるんですが、ここ最近は劇場で特に観たい映画がやっていなくて…。いや、正確に言うとちょっとは観たいものがあるんですが、恐ろしいほどの金欠状態なのでそれを乗り越えて観に行くほどのものではなかったかなという感じ…。

が!!
ここからは劇場で観たい映画ラッシュですよ!!

まず1本目、『ブルー・バレンタイン』のデレク・シアンフランス監督の新作『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』!
今回ほとんどネタバレなし!

★★★★

邦題の「宿命」があまりに長いカタカナで霞んでほとんど目に止まらないというこの映画、町山さんや、日経の映画レビュー(評論家の名前忘れた…)ではあまり評判良くなかったですが、非常に面白く観ましたよ!ただアクション映画を期待していくとがっかりするかも!途中退席するお客さんも、結構いたように思いました。

前回と同じく、と言いますか時系列の操作はないものの今回も面白い構成になっていて、1部は銀行強盗をするライアン・ゴズリング、2部はそれを追った警察ブラッドリー・クーパー、3部はその2人の息子がそれぞれ主人公となっています。1部はバイク版『ドライヴ』と言えなくもない感じで、チェイスシーンが超カッコいい。爆音でエンジン音を聴くとこれまた興奮するのでこれだけでも劇場で観る価値があると思います。2部は、正義を通したはずのブラッドリー・クーパーが警察の腐敗に抗う話。アクションの香りがした1部と打って変わって、2部はイヤ〜な感じのするミステリーっぽい感じに。自分は何も間違ったことをしていないはずなのに、徐々に窮地に追い込まれていく、観てていたたまれない気持ちになっていくホントにイヤ〜な感じがよく出ていました。そして3部は、ハイスクールの影を映した青春学園モノになっています。3部とも、ストーリーは繋がっているのにジャンルが全然違う!でもはっきりと3部の線引がされているかといえばそうではなく、絶妙に繋がっていてちゃんと「1本の映画を観ている」感覚なんです。また新しいことをやってのけましたね、デレク・シアンフランス

全面的に押し出されているライアン・ゴズリングは、2部以降は全くと言っていいほど登場しませんが、彼の存在(不在)が1人の警察官や自分の息子に影響を与えていく、という話なので公式サイトやポスターの見せ方は全く正しいと思います。そして、改めてライアン・ゴズリングがいかに魅力的で存在感のある役者か感じ入ってしまいます。前半、生き生きとバイクを走らせて銀行強盗を繰り返してた彼がああなってこうなって、画面に出て来なくなると、観客であるこっちもすごく寂しい気持ちになるんですよ。だからこそ、警察官の苦悩にも共感できるし、最後に息子がとる行動にも胸が打たれるわけです。終盤、とあるシーンでライアン・ゴズリングが映ったときにはまじで泣きそうになりましたよ…

が、言いたいこともないわけではないです。
まず、これは良い点でもあるんですが、3部構成の3ジャンル編成です。非常に違和感なく、上手いことまとめられているのはすごい。ただ、その分それぞれの要素が薄まってしまってるんじゃないかと。例えば1部なら、ようやく銀行強盗が始まったぜ!バイクチェイスだ!と盛り上がってきたところで終わってしまい、不完全燃焼感が残ります。パトカーとバイクのチェイスシーンが非常に格好良く撮れているだけに、もう終わりかよ、と思っちゃうのが正直な所です。それと、個々のキャラクターをあまり掘り下げられもしないんじゃないかなーとか。

ただ!
今作はあえてそういう作りに挑戦しているのだと思うし、十分面白かったしこれで良いんじゃん?!(適当)
あ、それとエンドロールでかかるBon Iverの曲が、映画の終り方にすごくマッチしてるし、余韻引きずっちゃうし、「エンドロールが1曲きっかりで終わる」し、本当に素晴らしかったです。

爆音感もちゃんと感じられたしね!本当に映画館で観て良かった!


※関係ないけど、ブラッドリー・クーパーショーン・ペンリーアム・ニーソンに見えて仕方なかった…。

ブルーバレンタイン [Blu-ray]

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良かったよ、良かったけどもう1回観る勇気の無い映画。
「これ(観る)くらいのこと乗り越えられなきゃ結婚なんて無理だよ!」と宇多丸さんが言ってましたが、確かにそうかもしれない。
これもエンドロールにかかるGrizzly Bearの"Alligator"が本当に素晴らしくて、ああ…ああ…ああああ!!!という気持ちにさせられます。