『素敵な人生の終り方(Funny People)』


★★★

例によって残念な邦題が付けられた日本劇場未公開作品。この前ツタヤの準新作コーナーみたら、最高の人生の終り方〜とか人生のなんちゃら〜とか「人生の」が3つくらい並んでて、何が何だか分かりませんでしたよ。もう、やめよう!!とりあえず人生ってつけるの!!しかも完全にミスリードだし!!

今作、『素敵な人生の終り方』(以下、原題のFunny People)はジャド・アパトーの監督作品。製作で名前はよく見かけますが、監督作品は『無ケーカクの命中男/ノックトアップ)』以来でちょっと久しぶりな感じです。ジャド・アパトー組にハズレなし!と思っていたのですが、今作はあれ?どうしたジャド・アパトー!という感じでした。

とにかくジャド・アパトー作のなかで最長と言っていいほど時間が長い、なんと153分。2時間半強あって、肝心の内容はどうかというと、全く話にキレがなくてダレます。特に中盤以降の、アダム・サンドラーの元彼女とどうしたこうしたの下りなんてただ長いだけでしたよ。今作はいつも以上にアドリブ感を感じたので、もしかしたらそれのせいかもしれませんが…。端的に文句をまとめると、演出にいつものキレがない、人物描写が甘い、観せたいものと語りたいものが分離してる気がする、って感じですかね。

でもやっぱりジャド・アパトー作品にあんまり文句を言いたくないので、ここからは良かったところを書きます。

アダム・サンドラーがセレブ級の、セス・ローゲンジョナ・ヒルが駆け出しのスタンダップ・コメディアンとして登場するんですが、彼らの様子はまるで本物(というかまさに本物だけど)を観てるようで面白かったです。そもそもスタンダップ・コメディアンっていう名前は、「立って話す」っていうところから来てるっていうことも今作を観るまでは知らなかったし、こんな感じでネタ作って舞台でこんなふうに話す笑いの文化があるのか、っていうことを初めて知りました。セレブ級のコメディアンには助手がいて、ネタは全部考えさせてるっていう設定も恐らくリアルなんでしょう。そしてそのトークがこれまた笑える。9割下ネタですが、ジョナ・ヒルの「サオとタマの会話」なんて最高でした。ネタ作ってる様子はただ友だち同士で面白い話を膨らませてるようにも見えて、おかしかったです。

あとは、やっぱりザ・ジャド・アパトー組のセス・ローゲンジョナ・ヒルの存在ですね。今回はジェイソン・シュワルツマンもそこに加わっていましたが、なんでしょう、彼らがいるだけでその映画が数倍面白くなりますね。なんだったら2人で話してるシーンだけでも良いくらい。それと、ラストシーンはなんだかんだ言っても少しグッときちゃったかな。ここでカメラが引いてそのままエンドロールにいけばな…と思ってたらホントにそうなったのでちょっとびっくりしました。

あ、それとダイハードネタでいじられた北欧訛りのおっさんが「イピカイエ〜マザーファッカー」って返すところは最高でした。

なんか尻切れトンボになっちゃったけどこんな感じです。

アダム・サンドラーは正直苦手なんですが、これは大好きです。