『アイアンマン3』


★★★★

まず予告観て想像したものと全然違いました。「トニー・スターク個人のもつ軍事力が政府に疎まれだしてうんぬん(2みたいな)」とか「アベンジャーズのトラウマでポッツもアイアンマンも投げ捨ててしまう」とかそんな話かなと思っていたんですが、実際は重々しい雰囲気どころか終始ギャグが散りばめられていて、そういう意味での「マンガ感」があり観ていて楽しみやすかったと思います。ノーラン版バットマンのような重々しい感じでアイアンマンをやられても萎える、というのが全くの杞憂で本当に良かった!

アイアンマンの何が良いってそれはやっぱりスーツのガジェット感だと思うんです。”1”ではいくつものアームが体にパーツを取り付けていってネジを締め、トニー・スタークが腕を伸ばしたところにパーツをまた取り付けていったりと、じっくり見せながらもテンポ良く気持ちいい感じ。”2”では、アタッシュケースを広げて体に取り付け、そこからパーツが広がってアイアンマンの姿になっていくように、スーツ装着の高速化が始まり、細かいパーツの動きにやはり快感を感じる。”アベンジャーズ”では落下するトニー・スタークに、ブースターを取り付けたスーツが小型飛行機のようになって飛んでいき、空中で装着。思わずガッツポーズしたくなるほどカッコ良かった!
そして今回、”3”ではスーツが腕、頭、背中、など細かいパーツに別れ、ばらばらに飛んでくるものを次々に装着していく、または、個々にオートパイロットで動くスーツが開いてその中に入ったりと、高速化・利便性が追求されていると思える、そしてなにより観ていてなんだかものすごく気持ちがいい、素晴らしいスーツ装着描写の進化であると思いました。

ついでに脱着に関して言うと、”アベンジャーズ”のときはスターク・タワーにアイアンマンが着陸し、「歩きながらパーツを外してスーツを脱ぐ」のが気持ち良すぎて焦点するレベルだったのですが、今回の”3”ではスーツ1着1着の重みが減っていて、丁寧に脱ぐシーンはほとんどなかった気がします。ですが、クライマックスの戦いでスーツを着ては破壊され、もしくは腕ごと着られそうになったときにスーツから自分だけを射出して脱出、そしてオートパイロットで動くアイアンマンのスーツが開き中に入って装着、という「使い捨て」感覚でスーツが消費されていく感じがまた新たな気持ちよさがあり、ガジェット感への期待を裏切らない作りになっていたんじゃないかなと思います。

ストーリーに関してはこれで十分じゃないでしょうか。前述したように、変に重くなっていなかったことだけでも評価に値します。ただギャグがほんとに終始いろんな場面で出てきて、製作サイドの「大丈夫ですよー笑ってみてくださーい」ってすごい気を使っている姿が何となく察されてしまいました。個人的に、テロリストのリーダーだと思っていた奴は実は役者でただの小物、ダサイTシャツ着てベッドには2人のギャル、この辺りのギャグがすごく好みでした。特にリーダーは良いハッタリぶり!他にも、やたらおっぱいがでかいうさぎのぬいぐるみとか、意味なくビキニギャルがピンポンやってたりとかちょこちょこ好きな感じでした。

ただテロリストの真のリーダーはあいつ、ってわかったところで一気に敵の規模が縮小しちゃって、「なんだ、じゃああんま大したことなさそうじゃん」って思えてしまったのは少し残念でしたし、あんなとこやこんなとこなど言いたいことはないわけではないのですが、とにかくアイアンマンの新しいスーツ、新しいガジェット感が観られたので十分満足しています。

奇人たちの晩餐会 USA』のステファニー・ショスタクが敵役で出てきたのも嬉しかったです。

相変わらず美人!

ちょっと予告にだけは文句つけたいです。偶然テレビでアイアンマン3の予告が流れるのを観て、もしや…とアベンジャーズの予告のトラウマが蘇ったのですが、その不安が見事に的中しました。アイアンマン全員集合のシーンのことです。アベンジャーズの時、僕は散々予告でおいしいシーンを観てしまったので、本編でそこまで興奮できなかったんです!いや、興奮したのはしたんですが、もし予告を観ていなかったら気が狂うほど興奮できたような気がするんです!その時はYoutubeで何回も繰り返し観てしまった自分が悪いのだ…と己に活を入れたんですが、今回はそうはいかない。事故であんなにおいしいシーンを見せられちゃあたまんないよ!まるっきりアベンジャーズの”和を組んで辺りの敵を睨みつけるチーム感”のシーンと同じですよ。それどころか今回は複数のアイアンマンがオートパイロットで動く、っていうこと自体が壮大なネタバレなのに!ひどい!ひどすぎる!そのシーンは使わないで、せめてその前のアイアンマンらしき物体が次々に飛んでいくシーンだったら上手いことぼやかせるし、あれはもしかしてアイアンマン?っていう引きにもなったんじゃないかと思うんです。正面どーんだからね…やめましょうよ本当に…。”アベンジャーズ”のハルクのアイアンマンキャッチシーンも本当にひどいと思いますが、今回もそれに負けず劣らずのひどさだったと思います。

映画館で興奮させてください。お願いしますよまったく。

あとはエンディングでの”少年へのお返しぶり”などに、なんとなくこの画像のことを思い出してしまったので貼っておきます。

(追記)
IMAX3D版をなんとなく選んだのですが、3Dで良かったって思うようなところが今になって特に思い出せない…IMAXの画面と音のデカさは好きなので、後悔はしていませんが3Dに慣れてくるにつれて3D感が無くなってくるような…

(追記2)
5月7日たまむすびの放送での、町山さんの『アイアンマン3』についての解説が面白いです。なぜマンダリンがあいつだったのか、なぜ日本公開が先だったのか(海賊版流出防止という理由もあるそうですが)などなどわかります。


原題:Iron Man 3(2013/アメリカ)
監督:シェーン・ブラック
脚本:ドリュー・ピアース、シェーン・ブラック
原作:スタン・リー、ラリー・クーパー、ドン・ヘック、ジャック・カービー
出演:ロバート・ダウニー・Jrグウィネス・パルトロウドン・チードルベン・キングズレーガイ・ピアースレベッカ・ホール、ステファニー・ショスタク
(鑑賞:2013/04/28 ユナイテッド・シネマ キャナル

やっぱり1!スーツが出来た!着てみた!サイコー!