『ワールド・ウォーZ』


★★☆

これは特に何も書きたいことが浮かばなかった1本です。

全然良くはないけど、ボロクソ言いたくなるほど悪くもなかったという最も微妙なタイプの映画でした。
珍しくほぼ満席という望ましい環境で観れたのですが、特に周りからのフィードバックはなく、その辺りも残念でしたね。

やっぱりゾンビって言ってんのにゾンビっぽさを感じるシーンがほとんど無かったのが残念でした。ゾンビ映画ではなく、ファミリー向けの映画として売ろうとした宣伝方法も話題になりましたが、レーティング対策なのか、グロテスクなシーンは皆無で、さらに画面ががちゃがちゃしてて何がどうなってんのかわかんない場面も多かったです。
ゾンビ以外でも、観てるこっちがショックを受けるような場面はほとんど無かったように思いますねー…。この手の映画を観るときにどうしてもそういうものを期待してしまうのでがっかりでした。『コンテイジョン』のようなウイルス感染ものとしても、いまいち切迫感のない、ヒリヒリするような緊迫感のない感じもうーん…でした。
あとはブラピ一家の家族描写。いちいち電話で連絡取り合ったりとか…いま取り込み中だっつってんだろ!!ってヤケにイライラきましたねー…。家族向けに売りたい以外にブラピ一家が登場した理由が見当たらず、これも僕にとって完全にノイズでした。

今思えば、映画の前に友人たちと『パシフィック・リム』の話で盛り上がり、『パシフィック・リム』みんなで観たいなぁ…と本編中も何度か考えてしまっていたので自分の鑑賞態度も相当悪かったとは思うのですが。
思うに、もっと肩の力抜いて観ればもうちょっと面白かったのかなと。ブラピが大作ゾンビ映画だ!って変に期待しちゃったのがマイナスでしたかね。序盤、事態を収めるはずのキーパーソンがずっこけた時に銃が暴発していきなり死ぬ、とかWE LOVE PEPSI!!なオチとかももっと楽しめたかもしれません。

それと大変不愉快に感じられたところ。ブラピ一家がゾンビの群れから逃げてきて中東系移民(?)の家族の家に匿ってもらうんですが、そこにもゾンビたちが押し寄せてきて、お父さんとお母さんは噛まれて速攻でゾンビ化、息子だけはブラピ一家共々逃げる。その後、避難先の戦艦からブラピが発つ時にその子どもに「俺の家族をよろしく頼む」って言うんですよ。酷い!!この、鬼!!人でなし!!別に子どもに励ましの言葉をかけてやるシーンとかはいらないけど、その台詞余計だったよ!!しかもお父さんゾンビは確か、ヘリで逃げる直前に兵に銃殺されてましたよね…?おいおいおい、そりゃないよ!!って一番言いたくなったシーンでした。その台詞いらないいらない!

予告でも散々観ましたが、ゾンビの群れがどんどん折り重なっていって、「ゾンビタワー」ができるシーンは迫力ありましたね。大量のゾンビが現れるシーンはどれも映像的に面白かった気がします。
一番良かったのは韓国(でしたっけ)で、ブラピたちが飛行機で逃げる時間稼ぎをする軍人たちですね。これもまあ、ブラピの奥さんが電話かけてきてその着信音でゾンビたちに気づかれるという非常にアホなきっかけで始まる一連なんですが、隊長らしき人がゾンビに噛まれた!スナイパーがゾンビ化する前に隊長を撃とうとすると、「自分でやる」この台詞!
ついこの間『オーガストウォーズ』観てても感じたのですが、軍人の本当に命をかけたこの態度には男として本当に敬礼したくなるものがあります。

最後に、ブラピはもうブラピにしか見えなくなってきたので、確かに俳優としてはある意味もう潮時なのかも、と思います。『悪の法則』は楽しみですけどね!